カーラ・ヴェルト
概要
アーヴェリア王国の先王に仕えた元宮廷魔術師にして宮廷剣術の達人。先王の死後、宮廷を去り、南東部の山間にあるルーアの谷に隠棲した。第二次帝国侵攻の焼け跡で孤児となったユノ・フェルティアを拾い、八年間にわたって剣術と魔術を教え育てた。
ユノが十四歳の冬に、老衰により穏やかに息を引き取った。
人物像
- 六十代の女性。白髪まじりの髪をうしろで一つに束ね、革の上着に麻のズボンという実用的な出で立ち。背筋はまっすぐ。
- 寡黙で厳しいが、根は深く優しい。感情を表に出すことが少なく、褒める時も「事実を言っただけ」と素っ気ない。
- 口の端がほんのわずかに上がるのがカーラ流の笑い方。晩年にはユノの前でちゃんと笑うことも増えた。
- 人付き合いが苦手で、村人には「先生」と呼ばれるのを嫌がる。買い物はユノに任せていた。
- 料理が上手く、スープの味付けは村のおばさんたちに聞かれるほど。
口調
- 平坦で飾らない話し方。ぶっきらぼうだが冷たくはない。
- 例:「考えるな。足が地面を踏んだ瞬間に、手が動いてるようにしな」
- 例:「好きにしな」「事実を言っただけだ」
- 感情が滲む場面では言葉が短くなる。
- 例:「よく生きてた。それだけだ」「お前がいるからね」
経歴
- 先王(アレクシア女王の父)に仕えた宮廷魔術師。宮廷では剣術・魔術ともに別格と評され、先王から深い信頼を寄せられていた。
- 先王の死後、宮廷を去る。引き止める声は多かったが応じなかった。行方を知る者はなく、ルーアの谷でひっそりと暮らしていた。
- 第二次帝国侵攻で焼かれた村の焼け跡で、泣いていない六つの子供(ユノ)を見つけ、「放っておけなかった」と連れ帰る。
- 以降八年間、ユノに剣術・魔術・生活の全てを教える。
- ユノが十三歳の頃から体調が悪化。バレンの治療を受けながらも衰えは止められず、十四歳の冬に死去。
剣術・魔術
- 剣と魔術の双方を極めた稀有な存在。宮廷ではその力を「別格」と称された。
- 銀鋼の長剣を所持。普段は壁に掛けたまま抜くことはなかったが、魔物の出没時にはユノを守るために一度だけ抜剣した。その一振りで魔狼を退けた。
- 教える術式は一般魔術言語に基づく基本術式だが、その運用法と応用の深さは一級品。
- 晩年は身体が動かなくなっても、技の精度だけは衰えなかった。「力がなくても、ここに届く。身体が動かなくなっても、技は残る」と教えた。
ユノとの関係
カーラにとってユノは弟子であり、娘のような存在。「のんびり死のうと思っていた」日々に意味を与えてくれた人間。
教育方針は「身体で覚えろ」「考えるな」。実技を重視し、理屈は最低限にとどめていたが、晩年は残りの時間で伝えられることを全て伝えようと、魔術理論の講義にも力を入れた。
ユノの術式構築の才能を早くから見抜き、「八つでこれをやるのは、わたしの知る限りではいない」と事実として認めた。一方で、マナ量の少なさと障壁の弱さを最大の課題として、毎日の練習を課し続けた。
最期の日、岩場でユノに「美しいものを、たくさん見ておいで」と告げ、穏やかに眠りについた。
人間関係
- 先王:仕えた唯一の主。「穏やかな人だった。戦を好まず、民のことを第一に考える人だった」と語る。先王以外に仕える気はなかった。
- アレクシア女王:先王の娘。カーラは「あの子」と呼ぶ。女王からの親書を受け取るも、宮廷に戻ることは断った。
- ヘルガ(銀盾星):カーラが宮廷を去る時に騎士団に入りたてだった人物。後に五星の一角となり、カーラを「先達にして手本」と評している。
- バレン:ルーアの谷の治療師。カーラの体調管理を担い、頭の上がらない数少ない相手。
- ユノ・フェルティア:弟子にして育て子。「お前は、わたしの最高の弟子だよ」と語った。